マレーシアは、英語が通じ、日系企業の進出の歴史も長い国です。このコラムでは、マレーシアで会社(非公開会社 Sdn Bhd)を設立するときの基本的な要件と、外資規制・資本金・税金のポイントを整理します(2026年10月時点の情報)。
※ 制度の概要の紹介です。実際の設立は、現地の会社秘書役・会計事務所・法律事務所に相談してください。
目次
Sdn Bhd(非公開会社)の基本要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠となる法律 | 会社法(2016年) |
| 株主 | 1人から設立できる |
| 取締役 | マレーシアに通常居住する取締役が少なくとも1人必要 |
| 会社秘書役 | 設立から30日以内に、資格を持つ会社秘書役を選任する |
| 登記先 | マレーシア会社委員会(SSM) |
日本人だけで設立する場合でも、現地に住む取締役と会社秘書役の手配が必要になります。
外資規制
| 業種 | 外資の扱い(概要) |
|---|---|
| 製造業 | 原則100%外資で設立できる(一定規模以上は製造ライセンスが必要) |
| 流通業(小売・卸売) | 業態によって異なる。百貨店などは制限なし、ハイパーマーケットなどはブミプトラ(マレー系など)の出資が必要、一部の業態は外資不可 |
| 水・エネルギー・放送・防衛など | 外資の上限(30%・49%など)がある |
資本金の目安
| 場面 | 払込資本金の目安 |
|---|---|
| 流通・サービス業のライセンス(外資) | RM100万 |
| 日本人などの就労ビザ(EP)を申請する場合 | 外資100%の会社でRM50万、合弁でRM35万など |
| 外資の建設業 | RM75万 |
※ JETROの資料にもとづく概要です。業種やライセンスによって条件が異なります。
法人税
| 区分 | 税率 |
|---|---|
| 標準 | 24% |
| 中小企業(払込資本金RM250万以下など) | 最初のRM15万まで15%、RM60万まで17%、それを超える部分24% |
2024年の課税年度から、外国の会社や外国人が株式の20%超を持つ会社は、中小企業の軽減税率の対象外になりました。日本の親会社が出資する場合は、標準の24%になることが多いと考えておきましょう。
電子インボイス
マレーシアでは電子インボイス(e-Invoice)が段階的に義務化されています。2026年1月からは小規模な事業者にも対象が広がりましたが、年間売上RM300万未満の事業者は対象外とされています。
優遇制度
- ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ):対象分野(AI、医療機器、航空宇宙、グローバルサービス拠点など)の新規投資に、法人税5%(最長15年)
- ラブアン(オフショア金融センター):トレーディング事業で、現地での実体(従業員・経費)の要件を満たせば利益の3%の税率。満たさなければ24%
設立の流れ(概要)
- 会社名の確認・予約(SSM)
- 定款などの書類準備、取締役・株主の情報の提出
- 会社の登記
- 30日以内に会社秘書役を選任
- 銀行口座の開設、税務・業種ごとのライセンスの手続き
- 必要に応じて就労ビザ(EP)の申請
→ マレーシアのIT企業向け優遇制度(Malaysia Digital)
まとめ
- Sdn Bhd は株主1人から設立できるが、マレーシアに住む取締役と会社秘書役が必要
- 製造業は原則100%外資可。流通業などは業態ごとに制限がある
- 就労ビザを申請するには、外資100%でRM50万などの払込資本金が目安
- 法人税は24%。外資20%超の会社は中小企業の軽減税率の対象外
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
