海外に拠点を持つとき、「駐在員事務所」「支店」「現地法人」のどの形にするかで、できる活動、責任の範囲、税金の扱いが変わります。このコラムでは、3つの形の違いを、マレーシアとドバイ(UAE)の制度を例に整理します(2026年10月時点の情報)。
※ 制度の概要の紹介です。実際の判断は、現地と日本の専門家に相談してください。
目次
3つの形の比較
| 項目 | 駐在員事務所 | 支店 | 現地法人(子会社) |
|---|---|---|---|
| できる活動 | 市場調査・情報収集・連絡など。売上を上げる商業活動は不可 | 親会社の事業の範囲で営業できる | 現地の会社として幅広く営業できる |
| 法人格 | なし | なし(親会社の一部) | あり(別の会社) |
| 責任 | 親会社が負う | 親会社が負う | 原則として出資の範囲まで(有限責任) |
| 向いている段階 | 進出前の調査・準備 | 親会社の事業をそのまま展開 | 本格的な事業展開 |
マレーシアの場合
駐在員事務所・地域事務所
- マレーシア投資開発庁(MIDA)の承認が必要
- 年間の運営費は最低RM30万で、国外からの送金でまかなう
- 期間は最低2年で、運営費を積み増せば延長できる
- 売上を上げる商業活動はできない
支店
- マレーシア会社委員会(SSM)に外国会社として登録し、現地の代理人を置く
- 法人税は一律24%で、中小企業の軽減税率は使えない
現地法人(Sdn Bhd)
- マレーシアの会社として有限責任で事業ができる
- 条件を満たせば中小企業の軽減税率を使える(外資20%超の会社は対象外)
ドバイ(UAE)の場合
本土の支店・駐在員事務所
- 経済省への登録と、首長国ごとの許認可(ドバイは経済観光局)が必要
- 2024年の省令(第138号)で、支店に求められていた現地サービス代理人と、5万ディルハムの銀行保証が原則不要になった(規制業種は例外あり)
- 支店は親会社の事業の範囲で活動でき、駐在員事務所は販売促進などに限られる
フリーゾーンの支店・会社
各フリーゾーンの管理当局の規則に従って設立します。
→ ドバイで会社を設立する方法/ドバイのフリーゾーンの選び方
形を選ぶときのポイント
- まず調査なのか、すぐ売上を立てるのか:調査段階なら駐在員事務所、営業するなら支店か現地法人
- 責任の範囲:現地のリスクを親会社から切り離したいなら現地法人
- 税金:支店と現地法人で税率や優遇制度の使える範囲が違う。日本側の課税関係も含めて専門家に確認
- 人の派遣:就労ビザの条件(資本金・オフィスなど)も形によって変わる
まとめ
- 駐在員事務所は調査・連絡のための拠点で、商業活動はできない
- 支店は親会社の一部として営業でき、責任は親会社が負う
- 現地法人は別の会社として有限責任で幅広く事業ができる
- マレーシアの駐在員事務所は年RM30万以上の運営費、UAEの支店は2024年から代理人・銀行保証が原則不要に
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
