マレーシアは、英語が通じやすく、日本からの直行便も多いことから、移住先として人気があります。一方で、実際に住んでから「思っていたのと違った」と感じる点もあります。この記事では、マレーシア移住のデメリットや後悔しやすい点と、それぞれの対策を整理します(2026年10月時点の情報)。
※ 制度や価格は変わることがあります。ビザ・税金・保険などは、最新の公式情報や専門家に確認してください。
デメリットの一覧
| 項目 | 後悔しやすい点 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 気候 | 一年中暑く湿度が高い。ヘイズ(煙害)や冠水もある | 空気清浄機・除湿機の用意、住まいの冠水履歴の確認 |
| 物価 | 税の改定や電気料金の見直しで、生活費が上がっている | 日本と同じ暮らし方を前提にせず、予算に余裕を持つ |
| ビザ | 長期滞在のビザの条件が厳しくなった | 目的に合うビザを早めに比べる |
| 医療費 | 外国人は公立病院の補助の対象外。私立病院の費用も上昇 | 医療保険の加入と、保険料の上昇の見込み |
| 車社会 | 郊外では車が必要。外国人は補助なしのガソリン価格 | 住む場所を鉄道沿線にするなど、車の要否から考える |
| 手続き | 免許の切り替え停止、SIMの本人確認など、手続きの変更が多い | 到着後の手続きの順番を事前に確認する |
| 不動産 | 地域や物件の種類によっては売れ残りが多い | 購入前に需給と出口(売却・賃貸)を確認する |
1. 暑さ・湿気・ヘイズ
マレーシアは一年を通して気温の差が小さく、クアラルンプール(KL)の最高気温は31〜33℃程度が目安です。季節の変化がほとんどないため、「ずっと夏」が続くことに疲れる人もいます。建物の中は冷房が強く、外との温度差で体調を崩すこともあります。
また、インドネシアの森林火災の煙が流れてくる「ヘイズ」が起きることがあります。2026年10月にも、KLやセランゴール州で大気の状態が悪化し、学校が休校になりました。大雨による冠水も、KL市内で繰り返し起きています。
対策
- 空気清浄機・マスク・除湿機を用意する
- 住まいを選ぶときに、周辺の冠水の履歴や駐車場の位置(地下かどうか)を確認する
- 下見を、雨の多い時期やヘイズが起きやすい時期に行う
2. 物価・生活費の上昇
「マレーシアは物価が安い」というイメージがありますが、近年は生活費が上がる要因が続いています。
| 時期 | 変更の内容 |
|---|---|
| 2025年7月 | 売上税・サービス税(SST)の見直し。生活必需品を除く一部の品目の売上税が5%または10%に、サービス税の対象が賃貸・リース、建設、金融などに拡大 |
| 2025年7月 | 外国人の私立医療・教育にサービス税6%(一定の条件あり) |
| 2025年7月 | 半島部の電気料金が新しい料金体系に。使用量が多い家庭ほど負担が増えやすい |
ローカルの食堂や市場は手頃な一方、日本食や輸入品、インター校の学費などは日本と同程度かそれ以上になることがあります。特に、エアコンを多く使う暮らしでは電気代が膨らみやすくなります。
対策
- 日本と同じ暮らし方を前提にせず、現地の価格で生活費を試算する
- 子どもがいる場合は、学費の値上がりも見込んでおく
- 為替(円安)の影響も考え、予算に余裕を持たせる
3. ビザの条件が厳しくなった
リタイア層に人気の長期滞在ビザ「MM2H」は、2021年と2024年に条件が大きく変わりました。2024年の見直し後は、定期預金の額などで3つの区分に分かれ、最も条件の低い区分でもUSD15万の定期預金と、RM60万以上の住宅の購入が求められます。年間90日以上の滞在も必要です。
MM2Hは原則として働くためのビザではないため、現地で仕事をしたい場合は就労ビザなど別の方法を考える必要があります。
対策
- 移住の目的(リタイア・就労・教育・リモートワーク)に合うビザを早めに比べる
- 制度変更が多いため、申請前に最新の公式情報を確認する
- 認可されたエージェントかどうか、手数料とサポートの範囲を確認する
4. 医療費と保険
マレーシアの私立病院は設備が整っていますが、医療費は年々上がっています。外国人は公立病院の補助の対象外で、専門外来の料金は外国人RM120、国民はRM5程度からと、大きな差があります(2026年6月、保健相)。医療保険の保険料も上昇が続いています。
対策
- 現地の医療保険か国際医療保険に加入する
- 使える病院、持病の扱い、年齢による加入の上限を確認する
- 保険料の上がり方も含めて、長期の資金計画を立てる
5. 車社会とガソリン代
KL中心部は鉄道や配車アプリで暮らせますが、郊外では車がないと不便です。2025年9月30日から、補助付きのガソリン(RON95、1リットルRM1.99)はマレーシア国民が対象となり、外国人は補助なしの価格になりました。補助なしの価格は毎週改定され、2026年10月は1リットルRM4.5〜4.7程度で推移しています。
また、2025年5月から、外国の運転免許からマレーシアの免許への切り替えが原則として停止されています(MM2H参加者などは例外)。
対策
- 車の要否から住む場所を考える(鉄道沿線なら車なしでも暮らしやすい)
- ガソリン代・道路税・保険を含めて、車の維持費を試算する
- 運転する場合は、国際運転免許証で運転できる期間を確認する
6. 手続きの変更が多い
マレーシアでは、暮らしに関わるルールがよく変わります。たとえば、2026年2月26日から、外国人がプリペイドSIMを買うときは、パスポートの原本と生体認証による本人確認が必要になりました。銀行口座の開設も、ビザの種類によって必要な書類が変わります。
対策
- SIM・住まい・銀行口座など、到着後の手続きの順番を事前に整理する
- パスポートの原本やビザの書類をすぐに出せるようにしておく
- ルールの変更を、公式発表や現地のニュースで確認する
→ 2026年に変わったマレーシア不動産・移住のルールまとめ
7. 不動産の供給過剰
移住をきっかけに住まいを買う人もいますが、マレーシアでは売れ残りの物件が多い地域があります。国の不動産情報センター(NAPIC)によると、2026年上期の売れ残り在庫は、住宅が3万3,094戸、サービスアパートが2万3,375戸でした。物件によっては、売りたいときにすぐ売れない、貸したい家賃で借り手が見つからないといったことも起こり得ます。
対策
- まずは賃貸で住み、エリアを見極めてから購入を考える
- 購入する場合は、周辺の供給状況と、売却・賃貸の出口を確認する
- 税金や契約については、現地の弁護士などの専門家に相談する
後悔しないための準備
- ☐ 下見の滞在で、暑さ・雨・交通を体験する
- ☐ 現地の価格で生活費を試算し、為替の変動も見込む
- ☐ 目的に合うビザと、その条件を確認する
- ☐ 医療保険の加入と、保険料の見通しを立てる
- ☐ 車の要否と、住む場所を合わせて考える
- ☐ 住まいは賃貸から始め、購入は慎重に判断する
まとめ
- マレーシアは一年中暑く、ヘイズや冠水もあるため、住まい選びと生活用品で備える
- 2025年7月の税の見直しや電気料金の改定などで、生活費は上がっている
- MM2Hは2024年の見直しで条件が厳しくなり、目的に合うビザ選びが重要
- 外国人は公立病院の補助の対象外で、医療保険の準備が欠かせない
- 外国人は補助なしのガソリン価格になり、運転免許の切り替えも原則停止されている
- 不動産は売れ残りが多い地域もあり、賃貸から始めて慎重に判断する
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
