ドバイは、個人の所得税がないことや治安の良さから、移住先として注目されています。一方で、家賃の高さや夏の暑さ、ビザが仕事やスポンサーと結びついている仕組みなど、住んでから「想像と違った」と感じやすい点もあります。この記事では、ドバイ移住のデメリット・注意点と、その対策を整理します(2026年10月時点の情報)。
デメリット・注意点の一覧
| 注意点 | 内容 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 家賃が高い | 中心部の家賃は高く、近年は上昇が続いてきた | エリア選び、値上げのルールを知る |
| 夏の暑さ | 6〜9月は日中40℃を超える日が続く | 夏の過ごし方・一時帰国を計画する |
| ビザと仕事の結びつき | 多くの居住ビザは雇用主などのスポンサーが前提 | 猶予期間を知る、ビザの選択肢を比べる |
| 学費・医療保険 | インター校の学費が高く、健康保険は加入が義務 | 費用を事前に見積もる |
| 税金 | 所得税はないが、付加価値税や法人税はある | 事業を行う場合は専門家に相談する |
| 法律の違い | お酒・SNS・薬物・医薬品などのルールが厳しい | 渡航前にルールを確認する |
| 地域情勢 | 中東情勢の影響を受けることがある | 各国政府の渡航情報を確認する |
1. 家賃が高く、値上がりしてきた
ドバイの生活費で最も大きいのが家賃です。家賃は年額で契約し、小切手で前払いするのが一般的です。
最近の家賃の動き
| データ | 内容 |
|---|---|
| Cavendish Maxwell(2026年上期) | 6月時点の住宅の平均家賃は1平方フィートあたり年75.7ディルハム。前期比2.5%下落、前年比7.8%上昇 |
| 同レポートの指摘 | 2023年から2026年初めまでは前年比11%を超える上昇が続いており、前年比7.8%は近年で最も低い伸び |
| Property Finder(2026年4月) | アパートの平均家賃は年9万940ディルハム。前年比4.4%上昇、第1四半期の平均よりは下落 |
※ 民間の不動産コンサルティング会社・ポータルサイトのデータ。募集価格をもとにしたものを含み、実際の成約家賃とは異なります。
新しい物件の完成が増えており、家賃の伸びは落ち着きつつあります。ただし、人気エリアの家賃水準は依然として高い状況です。
対策:値上げのルールを知る
ドバイでは、契約更新時の家賃の値上げに上限があります(ドバイ政令2013年第43号)。上限は、いまの家賃がドバイ土地局の賃料指数の平均とどれだけ離れているかで決まります。
| いまの家賃と平均家賃の差 | 値上げの上限 |
|---|---|
| 平均より10%以内の低さ | 値上げなし |
| 11〜20%低い | 5% |
| 21〜30%低い | 10% |
| 31〜40%低い | 15% |
| 40%を超えて低い | 20% |
また、郊外のエリアを選ぶ、小切手の枚数を交渉するなどで、家賃を抑えられることがあります。
2. 夏の暑さが厳しい
ドバイの夏(6〜9月)は、日中の気温が40℃を超える日が続き、海沿いは湿度も高くなります。屋外で働く人には、6月15日〜9月15日の12時30分〜15時に、直射日光の下での作業を禁止するルールがあるほどです。
- 夏は屋外での活動が難しく、車や屋内施設での移動が中心になる
- エアコンの使用で電気代が上がる
- 子どもの外遊びや運動の機会が減る
対策:夏に長めの一時帰国をする家庭も少なくありません。11〜3月は過ごしやすく、移住前の下見はこの時期に行うと、生活のイメージをつかみやすくなります。ただし、夏の暮らしも体験しておくと、ミスマッチを防げます。
→ ドバイの気候
3. ビザが仕事・スポンサーと結びついている
ドバイの居住ビザの多くは、雇用主などのスポンサーがいることが前提です。会社員の場合、退職や解雇で雇用が終わると、居住ビザも取り消されます。家族のビザは、家族を呼んだ本人(スポンサー)のビザに連動するため、本人のビザがなくなると家族にも影響します。
取り消し後の猶予期間
UAEの連邦身分・市民権・関税・港湾保安庁(ICP)によると、居住許可が期限切れ・取り消しになった後も、区分に応じて一定の猶予期間があります。
| 区分 | 猶予期間 |
|---|---|
| ゴールデンビザ・グリーンビザ・ブルービザの保有者と家族、子どもが学業を終えた学生 など | 180日 |
| 技能レベル1〜3の労働者、不動産の所有者 | 90日 |
| スポンサー(保証人・受け入れ先)付きで発行された居住許可 | 60日 |
| その他 | 30日 |
猶予期間を過ぎて滞在すると、1日50ディルハムの罰金がかかります。猶予期間の起算日はビザの種類などで異なることがあるため、自分の場合を必ず確認しましょう。
対策:転職活動の期間を見込んで生活資金を用意しておくことに加え、雇用主に頼らないビザ(ゴールデンビザなど)の条件を比べておくと、選択肢が広がります。
→ ドバイに永住権はある?ゴールデンビザ・退職者ビザの条件と費用
4. 学費と医療保険の負担
インター校の学費
ドバイの子どもの多くは私立のインターナショナルスクールに通います。評価が「Outstanding」の学校の2026〜27年度の年間学費は、約2万9,500〜11万2,000ディルハムです。2026〜27年度は学費の値上げが凍結されていますが、子どもが複数いると大きな負担になります。
健康保険は加入が義務
ドバイでは、住む人全員に健康保険への加入が義務づけられており、居住ビザの発行・更新にも保険が必要です。会社員は雇用主が保険を用意しますが、家族の保険はスポンサー(家族を呼んだ本人)が手配します。保障の範囲は保険によって大きく違うため、持病の有無や通院の頻度に合わせて確認しましょう。
5. 税金:所得税はないが「税金ゼロ」ではない
| 税金 | 内容 |
|---|---|
| 個人の所得税 | なし(会社員の給与所得には課税されない) |
| 付加価値税(VAT) | 2018年1月から、標準税率5%。買い物や多くのサービスにかかる |
| 法人税 | 2023年6月以降に始まる事業年度から。課税所得37万5,000ディルハムを超える部分に9% |
| 住居費(ハウジングフィー) | 外国人の借主は、年額家賃の5%が電気・水道料金に上乗せされる |
個人でも、事業を行う場合は法人税の対象になることがあります。また、日本の住民票を抜くかどうかなどで、日本側の税金の扱いも変わります。具体的な判断は、税理士などの専門家に相談してください。
6. 法律・ルールの違い
ドバイは外国人が多く暮らす国際都市ですが、法律は日本と大きく違う部分があります。
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| お酒 | 認可された飲食店などで飲むことができる。ドバイの居住者が店でお酒を買うには、酒類のライセンスが必要(2023年から取得は無料) |
| 人の撮影・SNS投稿 | 同意のない撮影や投稿は、プライバシー侵害として処罰の対象(禁錮や15万〜50万ディルハムの罰金) |
| 薬物 | 少量でも禁錮や国外退去の可能性。大麻(THC)製品は禁止 |
| 医薬品の持ち込み | 麻薬・向精神薬などに当たる薬は、UAE保健省の事前許可が必要。日本で普通に使われている薬が対象になることもある |
| ラマダン(断食月) | 断食している人の前での飲食は控えるのがマナー |
対策:常備薬がある人は、成分が規制の対象かどうかを渡航前に確認し、必要なら許可を申請しましょう。SNSに人や場所の写真を載せるときも、日本以上に注意が必要です。
7. 地域情勢の影響
ドバイの街の治安は良いとされる一方、UAEは中東に位置し、周辺地域の情勢の影響を受けることがあります。日本を含む各国政府は、情勢に応じてUAEへの渡航情報を出しており、その内容は変わることがあります。
対策:渡航・移住の前と滞在中は、外務省の海外安全ホームページなど各国政府の最新の渡航情報を確認しましょう。在留届の提出や、緊急時の連絡手段の確保もしておくと安心です。
まとめ
- ドバイの家賃は高く、2023年から2026年初めまでは前年比11%超の上昇が続いた。2026年上期は伸びが鈍っている
- 家賃の値上げには、賃料指数にもとづく上限(最大20%)がある
- 夏(6〜9月)は日中40℃を超え、生活のスタイルが大きく変わる
- 多くの居住ビザはスポンサーが前提で、取り消し後の猶予期間は区分により30〜180日
- 学費と健康保険(加入義務)の負担が大きく、所得税はないが付加価値税5%や法人税9%はある
- お酒・SNS・薬物・医薬品の持ち込みのルールは日本より厳しく、事前の確認が欠かせない
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
