マレーシアの長期滞在ビザ「MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)」は、日本人のロングステイ先として長く人気がありました。一方で、この数年で条件が何度も大きく変わっています。この記事では、MM2Hの制度変更の歴史と、2026年10月時点の制度を整理します。
年表
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2002年 | 前身のプログラムを引き継ぎ、MM2Hが始まる |
| 2020年7〜8月 | 新規申請の受付を停止(制度の見直しのため) |
| 2021年8月 | 新しい条件を発表。資産・収入の条件が大幅に引き上げられる |
| 2023年12月 | 3区分制の案を発表(その後、別の内容に置き換え) |
| 2024年6月 | 現在の3区分制(プラチナ・ゴールド・シルバー)を発表 |
| 2024年10月〜 | 新制度での申請の集計が始まる |
2021年までの条件
2021年の見直し前は、条件が比較的ゆるやかでした。
| 項目 | 50歳未満 | 50歳以上 |
|---|---|---|
| 定期預金 | RM30万 | RM15万 |
| 資産(流動資産) | RM50万 | RM35万 |
| 国外からの収入 | 月RM1万 | 月RM1万 |
| ビザの期間 | 10年(更新可) | 10年(更新可) |
2002年から2017年7月までの承認数は約3万3,000人で、日本は中国に次いで2番目に多い4,225人でした。
2020年:新規申請の凍結
2020年7月、観光芸術文化省は制度の見直しのため、新規申請の受付を止めました。同年11月には、国会で「廃止ではなく一時的な凍結」と説明されています。
2021年:条件の大幅な引き上げ
2021年8月11日、内務省が新しい条件を発表し、運営は入国管理局に移りました。
| 項目 | 2021年の条件 |
|---|---|
| 資産(流動資産) | RM150万 |
| 定期預金 | RM100万(承認後に50%まで引き出し可) |
| 国外からの収入 | 月RM4万 |
| ビザの期間 | 5年 |
| 滞在日数 | 年間90日以上 |
| 年会費 | RM500 |
国外収入の条件は月RM1万から月RM4万に、定期預金はRM30万からRM100万に上がりました。2021年11月からの2か月間の新規申請は111件にとどまったと報じられています。
2024年:3区分制へ
2023年12月にいったん3区分制の案が発表された後、2024年6月に現在の制度が発表されました。国外収入や流動資産の条件はなくなり、定期預金と不動産の購入が条件の中心になりました。
| 区分 | 定期預金 | 不動産の最低価格 | ビザの期間 | 参加費(本人) |
|---|---|---|---|---|
| プラチナ | USD100万 | RM200万 | 20年 | RM20万 |
| ゴールド | USD50万 | RM100万 | 15年 | RM3,000 |
| シルバー | USD15万 | RM60万 | 5年 | RM1,000 |
※ MM2H公式サイトの区分別ページにもとづく(2026年10月時点)。
すべての区分に共通する主な条件
- 25歳以上
- 年間に通算90日以上マレーシアに滞在する
- 承認後に、定期預金の50%までを住宅購入・教育・医療などのために引き出せる
- 購入した住宅は10年間売却できない(より高い物件への買い替えは可)
- 申請は、政府の免許を受けたエージェントを通じて行う
- 新制度の参加者は永住権を申請できない
- ゴールドとシルバーの参加者は就労できない
経済特区(SEZ/SFZ)の区分
ジョホール州フォレストシティの特区向けに、定期預金がUSD6万5,000(21〜49歳)またはUSD3万2,000(50歳以上)の区分もあります。対象は特区内の物件です。
新制度の利用状況
政府の発表では、2024年10月から2026年8月までの申請は7,650件で、中国(3,847件)、台湾(1,054件)、香港、シンガポール、アメリカが上位でした。日本は上位5か国に入っていません。
歴史から分かること
- 条件は数年単位で大きく変わる:2021年と2024年に、条件の考え方そのものが変わった
- 不動産購入との結びつきが強まった:2024年以降は、一定額以上の住宅の購入と、10年間の売却制限が条件になっている
- 既存の参加者への経過措置:2021年の見直しでは、既存の参加者への緩和措置もとられた。今後の変更でも、自分がどの時点の条件で参加しているかが重要になる
まとめ
- MM2Hは2002年に始まり、2020年の凍結、2021年の厳格化、2024年の3区分制と、大きく変わってきた
- 2026年10月時点は、プラチナ・ゴールド・シルバーの3区分と、経済特区向けの区分がある
- 現在は定期預金と住宅の購入(10年間売却不可)が条件の中心
- 制度は今後も変わる可能性があるため、申請前に公式情報と免許を受けたエージェントで最新の条件を確認する
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
