海外進出は、新しい市場や人材を得るチャンスである一方、思うように利益が出ないケースもあります。このコラムでは、JETROの調査で日系企業の現状を確認したうえで、海外進出でよくある失敗と、その対策を整理します(2026年10月時点の情報)。
日系企業の黒字の割合(2025年)
JETROの2025年度の調査(2025年8〜9月実施)で、2025年の営業利益が黒字になる見込みと答えた日系企業の割合は次のとおりです。
| 国・地域 | 黒字見込みの割合 |
|---|---|
| アジア・オセアニア全体 | 66.5% |
| インドネシア | 69.1% |
| マレーシア | 62.5%(前年から8.3ポイント低下、ASEANの主要国で最も低い) |
| UAE | 8割超(中東編の調査) |
裏を返せば、アジア・オセアニアでは3社に1社が黒字を見込めていない計算になります。調査では、人件費の上昇や、第三国の企業との競争が課題として挙げられています。
よくある失敗と対策
1. 市場調査が足りない
「日本で売れているから現地でも売れる」と考えて進出し、価格や好みが合わないケースがあります。
対策:JETROなどの情報を使い、現地の価格帯・競合・商習慣を調べる。小さく試してから広げる。
2. 制度・許認可の見落とし
外資規制、必要なライセンス、資本金の条件、就労ビザの基準などを後から知り、計画が遅れることがあります。
対策:進出の形(駐在員事務所・支店・現地法人)と業種ごとの条件を、設立前に専門家と確認する。
3. 人件費・人材の見込み違い
賃金の上昇や、最低賃金・社会保険の負担、人材の確保の難しさが、利益を圧迫することがあります。
対策:最低賃金・社会保険・退職金などの負担を含めて人件費を試算する。
→ マレーシアで人を雇うときのルール/UAE(ドバイ)で人を雇うときのルール
4. 税金の想定違い
現地の法人税だけを見て、日本側の課税(外国子会社合算税制など)や、付加価値税・源泉税を見落とすことがあります。
対策:現地と日本の両方の税金を、税理士などの専門家に事前に確認する。
5. 現地パートナーへの任せきり
現地の会社や個人に任せきりにして、経営の状況が見えなくなることがあります。
対策:契約・権限・報告のルールを決め、定期的に数字を確認する。
進出前のチェックリスト
- ☐ 進出の目的と、何年で黒字化するかの計画
- ☐ 市場調査(価格・競合・商習慣)
- ☐ 外資規制・許認可・資本金・就労ビザ
- ☐ 人件費(最低賃金・社会保険・退職金を含む)
- ☐ 現地と日本の税金
- ☐ 撤退する場合の条件と費用
→ 海外進出・法人設立の国選び/海外進出で使える公的な支援制度
まとめ
- JETROの調査では、アジア・オセアニアの日系企業の約3分の2が2025年に黒字を見込む一方、マレーシアは62.5%に低下
- よくある失敗は、市場調査不足・制度の見落とし・人件費の見込み違い・税金の想定違い・現地への任せきり
- 公的な支援や専門家を使い、撤退の条件まで含めて計画を立てる
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
