社員を海外に赴任させるとき、日本の健康保険・厚生年金をどうするか、現地の社会保険にも入る必要があるのかは、会社と本人の双方にとって大切な問題です。このコラムでは、マレーシア・ドバイ(UAE)・インドネシアへの赴任を例に、社会保険・年金の基本を整理します(2026年10月時点の情報)。
※ 制度の概要の紹介です。個別の扱いは、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に確認してください。
目次
社会保障協定とは
社会保障協定は、日本と相手国の年金・保険料の二重払いを防ぐための協定です。日本年金機構の一覧では、日本はドイツ・アメリカ・インド・フィリピン・中国など24か国と協定を発効させています(2025年12月発効のオーストリアを含む)。
3か国とは協定がない
マレーシア・UAE・インドネシアとの社会保障協定は、発効していません。 そのため、赴任の形によっては、日本と現地の両方の制度に加入することになる場合があります。
日本の社会保険はどうなる?
| 赴任の形 | 日本の健康保険・厚生年金 |
|---|---|
| 在籍出向(日本の会社との雇用関係が続き、日本の会社から給与の一部または全部が出る) | 原則として継続する(保険料の基準は日本の会社が払う給与) |
| 移籍出向(現地の会社に籍を移す) | 厚生年金の資格を失う |
日本の年金を続けたい場合
日本の厚生年金から外れて海外に住む人は、国民年金に任意で加入できます。加入しない場合も、20〜60歳の海外に住んでいた期間は、年金の受給資格を判断するときの期間(合算対象期間)として数えられます。
現地の社会保険
マレーシア
| 制度 | 外国人の加入 |
|---|---|
| 従業員積立基金(EPF:年金にあたる) | 2025年10月の給与分から、外国人の従業員も加入が義務に(雇用主2%・本人2%) |
| 社会保障(SOCSO) | 労災の制度(雇用主1.25%)と、障害の制度(雇用主・本人0.5%ずつ)に加入 |
UAE(ドバイ)
- 外国人向けの公的年金の制度はない
- 健康保険は加入が義務(雇用主が加入させる)
- 失業保険(ILOE)は、原則として従業員本人が加入する(月5〜10ディルハム)
赴任前のチェックリスト
- ☐ 在籍出向か、移籍出向か(給与をどこから払うか)
- ☐ 日本の健康保険・厚生年金を続けるか
- ☐ 現地の社会保険・年金への加入義務と、保険料の負担
- ☐ 現地の健康保険・海外旅行保険で、医療費をどこまでカバーするか
- ☐ 家族を連れていく場合の保険
- ☐ 帰国後の年金・保険の手続き
→ 海外拠点の形の選び方/マレーシアの就労ビザ(Employment Pass)
まとめ
- マレーシア・UAE・インドネシアとは社会保障協定が発効しておらず、日本と現地の両方の制度に加入する場合がある
- 在籍出向で日本の会社から給与が出るなら、日本の健康保険・厚生年金は原則として継続する
- マレーシアでは2025年10月から外国人も積立基金(EPF)への加入が義務に
- UAEには外国人向けの公的年金はなく、健康保険は加入が義務
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件や投資を推奨するものではありません。制度・税率・数値は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。
